2012年12月17日

ワールドSF ラヴィ・ティドハー

いろいろあってたいへん遅くなりましたが、ラヴィ・ティドハーの「オレンジ畑の香り」The Smell of Orange Grovesをお届けします。イスラエルの作家ですが、世界中を旅していて、イスラエルという土地やユダヤ人という出自にかならずしもとらわれない作品を書いています。SFというのは本来そういうものだったはずで、そこにぼくはすごく惹かれます。ただ、このシリーズはやはりイスラエルに住んでいる作家ならではのもの。もちろん、世界幻想文学大賞を受賞した長篇Osamaとその関連作品もすばらしいですし、スチームパンク三部作のThe Bookmanも最高なのだけれど、こうして地元を舞台にした作品を書けるようになったのが、作家の成熟だと思います。SFファンにはテーマが微妙で、ファン以外にはアイディアがわかりにくいかもしれないけれど、このスタイルがようやく作者がたどり着いた世界だと思います。お楽しみいただければ幸いです。 小川

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